2012年10月20日土曜日

数学活用、心理学について

2件ほどセミナーと講習会に参加してきたことをメモ書きしておきます。

まず簡単に…数学活用と、心理学に対する考えを述べておきます。

・数学活用とは、今年から高校数学の新課程として新しく入った内容です。
今まであった数学基礎をさらに生活の上で数学(の考え方)がどのように役に立っているか、そしてちょっぴり数学史の要素も入ったと言う感じです。

・心理学に対する、私自身の意識付け。
大切な学問で、何かを考えるためのちょっとしたキッカケを作るだけであって、心理学によってすべての状況(欝、いじめ、差別など)が改善されるわけではないと思っています。
ただ、自分の中に「こういうことも考えられるのではないか」と言う基準と、冒してはならない「タブーの領域」を見極めるために必要と考えています。

それでは、以下に参加したセミナーと講習会の紹介と、簡単に内容を振り返っておきたいと思います。

第35回 名古屋大学数学教育セミナー (参考:こちら)
・数学における相対性と相補性(大沢健夫先生)
・『数学活用』という教科書(根上生也先生)

今回は、数学活用の方だけ少し書くことにします。

根上先生は、実は友人の指導教官と言うことで一方的に知っていて、またFacebookで発言を公開していらっしゃるので、購読もしていたので、講演の始まりから最後まで、大体イメージしていた通り…と言った先生でした。
巧みな話術でとても引き込まれる講演で、さすがテレビに出たこともある人だな~と感じたりもしました。
「なるほどなるほど」と思うこともあり、教員が反省し変えていくべきことと、マスコミや、学生や生徒の両親がもっと教育に関わってくるような社会になることを願います。
(特にマスコミに対する上手い扱いをしている根上先生みたいな方が増えるのであれば、大賛成です。マスコミに踊らされ、ピエロのように扱われるような某先生方は…と、)

数学活用の内容についてですが、かなりよく考えられているみたいです。
進学校以外でも「問題を解く」ことが数学では重要になっていますが、それに警鐘を鳴らし、「解くために何を考えるのか」と言う数学が社会でどのように「役に立っているか」を強調するような教科書にしたかったのだと。
文系だからと言って、数学が必要ではないのかと言えばそうではないとも言っていたかと思います。

この「数学」と言うものの本質の考えは、前にも名古屋大学数学教育セミナーにおいて、浪川先生が仰ったことにもありますし、私自身も、そして私の周りの人にもそう考えている人が多く居ましたが…。
もちろん、そう考えていない先生が居て、さらにその先生が歳を取っていれば、さらに問題になります…。

根上先生も仰っていましたが、私達教員も現場を見て変わって行かなければなりませんと。
大学生の質が悪くなったと、嘆くばかりではなく、それを変えるために何を出来るか考え、数学活用の教科書作成にも携わったということでした。
ここで感じたのは、大学教員は(特に数学関係?)現状の教育をかなり心配している人が多いということです。
数学が蔑ろにされていることもやはり問題なのでしょう…。

私は思うのですが、「数学が出来る」という言葉を無くすか、共通の意識を持つための定義を何か作るべきでしょう…ね(苦笑)

平成24年度 後期 天白区生涯学習センター 講座 
「知らず知らずのうちに偏見や差別をしていませんか?」 (参考:こちら)
第1回 偏見や差別はなぜ生まれてしまうのか? 人を見る心のメカニズム

愛知淑徳大学心理学部の斎藤和志先生による講習会でした。

人間の基本的欲求(特に、対人関係における)は、理解、予測、統制があるそうです。

この理解は、自分のことを理解することと、自分の周りを理解することで、自分を守ることに繋げたいと思っていて、この理解によって、「この人なら~してくれそうだ。」などの予測に基づいた行動(統制)によって、快適な生活環境を作りたいと思うのが、人間の基本的欲求にあるそうだ。

予測は例えて言えば、「この人なら私の意見に賛成してくれそうだ。」「この人ならお金を貸してくれそうだ。」などがそうです。

そして、人間は奥底には、(自分の興味ないことに対してだと思いますが)「あまり頭を使わないようにしたい…見ただけで分かるようにしたい」という思いがある、認知的倹約家であるそうだ。
(自動的な判断をすることで負担を減らす)

この部分に、偏見や差別の背景にある心理的メカニズムがあるそうだ。

また、「人を見かけで判断してはいけない」とよく小学校や中学校では言うが、大人でも知らず知らずにしているし、むしろそれは悪いことではない。

例えば、知らない場所で道を訪ねたり、時間を聞いたり、カメラを預けて写真を撮って貰ったりする行為も、対象を忙しくなさそうな人、親切そうな人(強面、サングラスなどしてないなど)にしている。

これは、「人を見かけで判断していること」である。

さらにもっと言えば、それを利用したものもあり、漫画「ドラえもん」の主人公であるのび太は、優秀そうではないし、ドラえもんは道具を悪用するようなキャラクターには見えないや、水戸黄門の悪役は大体相場がつくなどがある。

似たものに、血液型や生まれた季節によって性格判断をすることがある。
これは、人間が「自動的な判断を行える」という意味で、「やっぱりこの人は~だから」という判断材料として非常に良いカテゴリー分けができるからだそうだ。
血液型も生まれた季節も4つという非常に良い数字だからだそうで、星座になると自分の星座は分かっても、自分の前後の星座すら知らない人が多いのが特徴だそうだ。

(血液型はほぼ関係ないだろうが、季節の場合は、両親の養育態度が関係することがあるので、性格に関係することもあるみたいだ。例えば、第一子で、さらに冬に生まれた子と、第三子の春なら全く違う育て方をするだろうし、それが性格に関わることもあるということだ)

心理学では、その「人を見かけで判断すること」で否定的な態度に対していうことを偏見といい、特に行動的な側面を強調した場合は差別と呼ぶのだそうだ。
また、ステレオタイプは「人を見かけで判断すること」で肯定的とみられる場合をも含むことに対して使うそうです。

最後に、「心のメカニズム」を知ることでブレーキの位置と掛け方を知ろうと、仰ってました。
(これは、イジメ問題の話を名古屋市教育委員会のシンポジウムで聞いた時と同じような…)

また、この講習会で面白そうな、簡単な本を教えて貰ったので、今度読んでその感想を今度書いてみましょう。


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なかなか数学が(?)忙しくて、教育書もあまり読めてませんが、今後もこういう講習会などには参加していきたいですね。
教育書はいずれ時間を取れば読めますが、講習会は一度限りかも知れませんからね。

2012年10月7日日曜日

後期の予定

後期も始まって、明日でちょうど一週間です。
昨日は、毎月(?)恒例の数学教育セミナーを受けてから、久しぶりの宅飲み鍋パーティーでした。
グズグズした感じではなく、とても楽しく有意義でしたね~。
(数学教育セミナーについては、今手元に資料がないので、後日書くことにします。)

さて、後期の動きも決まってきたので、書いておきます。
  1. 講義
  2. セミナー
  3. 研究計画
  4. その他
1.講義
後期は、現在8単位分取ることにしています。

・数理科学展望(オムニバス形式)
・社会数理概論(オムニバス形式)
・グラフ理論入門
・フーリエ解析入門

修了には、残り6単位で良いので、力尽きてどれか1つ取りやめるかも…知れませんが(苦笑)
それぞれの大まかな内容と、取った理由もメモしておきます。

・数理科学展望(オムニバス形式)
オムニバス形式で、3つの分野を簡単に知ることが目標です。
分野は、「フラクタルと複素力学系入門」「保型形式」「行列式とパフィアン」の3つです。
受講者の9割5分が学部3年生で、受講者も割りと多いので、一番受講継続を諦めそうな科目ですね…。
(単位が簡単に取れて、学部3年生は4単位分らしいので、そりゃ人気ですわね…)

諦めたとしても、保型形式は受けると思いますが。

・社会数理概論(オムニバス形式)
これもオムニバス形式で、
「クラウドの仕組み」「ビジネス上の数学的アルゴリズム」「ハードウェアとLinux」の3分野を社会人の方が講義してくれます。
前期よりも興味がありそうな項目だったので、受講してみてます。
働いていた人からの面白い話も含めて、今後も結構楽しみです。

・グラフ理論入門
グラフ理論の簡単な入門講義。少しだけ学部3年の時に学んだのですが、
定義、単語が多くてごっちゃごっちゃで、真面目にやらなかったこともあったので
もう一度勉強しなおしてみようと受講してみてます。
毎回課題があるので、良い指標にもなって、今後もしっかり復習・課題をやっていこうと思ってます。

・フーリエ解析入門
フーリエ解析は、実はちゃんと勉強したこと無いので、これも学部3年生に混じって学んできます。
途中の(偏)微分方程式の話が少し怖いですが(微分方程式はそんなにやったことが…)…。
頑張って行きましょう。

2.セミナー
M1 セミナーと、M2 セミナーにも参加してみます。
(割りといっぱいいっぱいです…。)
自分のための勉強もちゃんとやるには…と言うことで、夏ぐらいから始まった保型形式のセミナーは、今後どうしようかなと…。
発表をする準備をするのが中々…。
僕はあまり頭が良くないので、マルチタスクしすぎると結局何も得られそうにないので、ちゃんとやるべきことを見据えてやっていきたいですね。
そんなこんなで…

3.研究計画(大雑把に)
今僕は、Ekkehard Kratzel先生のLattice Pointsを読んでいます。
全部で300ページぐらいなのですが、格子点問題の基礎となるexponential sumの評価などが
Chapter2の100ページ分ぐらいです。
最悪そこまでを今年の12月までに読みたい…!
欲を言えば、平面領域のadditive問題(格子点問題の簡単なところ)Chapter3の150ページ分を読み終えたい…。

この本を読み終えたら、Double-zetaとの関係を見ていきたいと考えているので、本当に早ければ早いほど良いんですけどね…(そりゃ当たり前か)

中々、計算が多くて大変です。行間がほとんど計算なので、易しいと言えば易しいのですが、大変と言えば大変ですね。
(まぁ論理的な飛躍がないだけマシです…)
来年2013年2月までには、Chapter4(高次元のadditive問題)の途中まで読めると、修論への光が見えるんですけどね…。
良い例を考えるための資料と言うか、エキスは、Chapter4まで読めば何となく開けそうな気がしてるので…。

4.その他
教員採用については、2月終わるまでとりあえず無視で!
教育については、今後もセミナーに参加したり、地下鉄移動の時の読書でちょこちょこ蓄えて行きましょう。
前期より、気持ち的には楽な状態なので、もっと数学を頑張っていきます。

明日は、東山一万歩ウォーキングに参加してセミナーしてきます!!
うっひょー!