ラベル 整数論 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 整数論 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2013年1月18日金曜日

Perronの公式とその周り

今回は珍しく真面目に数学のことを書きます.
Perronの公式は良く用いることになりそうなので,その理由・特徴付けもしつつ書いたつもりです.
(応用,モチベーションについては最後にまとめています.
興味本位で訪問して頂いた方はそちらを先に読んで頂いたほうがいいかもしれません.)
まだまだ勉強不足なところもありますので,間違いなどがあればご指摘ください.

また,目標はPerronの公式の周辺の話にあるので,Mellin変換とRiemann-Stieltjes積分などについてのある程度の知識は前提としておきます.
(一応直感的に明らかではないだろうところは補足説明を入れておくつもりです.)
(あと,証明については別記事にて書くことにします.(ごちゃごちゃになるので...))
証明については,2月中旬ごろに次の『Dirichlet約数問題と平均値定理』を書くときに.

それでは最初に,Perronの公式(Perron formula)を書きその特徴を探っておきます.

(より一般的なものを扱うために,少し定義をします.)

数論的関数よりも少し広いものを扱うために,以下の集合を定義する.

Def.(集合\( V \)) \( \mathbb{R} \)上の複素数値関数で,以下の3つを満たす関数の集合とする.
(1) \( (-\infty,1) \) において\( 0 \). (2) 右方連続. (3) (局所)有界変動関数.

これ自体は,Riemann-Stieltjes積分をより良く扱えるためのものであって,
今後考える数論的関数\( f \)のSummatory functionを\(F\)とすると,この関数\(F\)は\(V\)の元であることが分かる.

Remark.Summatory function \(F(x) := \displaystyle\sum_{n \leq x} f(n) \)である.

Def.(Mellin変換\( \widehat{F} \)) \( F \in V \)で,Riemann-Stieltjes積分
\[
 \lim_{X \to \infty} \int_{1-}^X x^{-s} dF(x)
\] が収束し,存在しているときにそれを\(F\)のMellin変換\( \widehat{F}\)という.

このとき,冪級数とほぼ同じことが考えられて(全く同じではない),収束軸というものが考えられる.
(冪級数では,収束半径内では収束していることが分かるが,これと同じく
収束軸よりも右側では収束しているということが分かっている.)

Def.(収束軸\( \sigma_c ,\sigma_a \)) \( \widehat{F} \)の収束軸\(\sigma_c = \sigma_c( \widehat{F} \))は
\[
 \sigma_c = \inf \{ \sigma:\widehat{F}(s) が Re(s)=\sigma において収束するs \}
\] で定義される.
同じようにして,絶対収束軸\(\sigma_a(\widehat{F}\))も
\[
 \sigma_a = \inf \{ \sigma:\int x^{-\sigma} dF_v (x) < \infty \}
\] で定義される.

Remark.明らかに,\( \sigma_a \geq \sigma_c \)であるが,さらにDirichlet級数に対しては\( \sigma_a \leq \sigma_c +1 \)であることが分かる.

これで,Perronの公式を(より一般の場合に対しての)定義できます.

Theorem.(Perron inversion formula) \( F \in V \)とし,\( \widehat{F} \)は絶対収束しているとする.
また,\( b \)を (都合よくするため) \( b > \max (\sigma_c ,0) \)としてとる. このとき,\( {}^{\forall}x>0 \)に対して
\[
 \lim_{T \to \infty} \frac{1}{2\pi i} \int_{b-iT}^{b+iT} \widehat{F}(s) x^s \frac{ds}{s} = \frac{1}{2} \{ F(x+) + F(x-) \} \tag{1} \label{perron}
\] が成り立つ.

Remark.\(b \)を都合よくするため0を避けたのは,分母に\(s\)があるからである.

ここではPerronの公式についての証明しない.
これよりも積分の可能性を改良することが出来る,好ましく用いることが出来るものを紹介する.

Theorem.("smoothed" Perron formula) \(F \in V , \sigma_a(\widehat{F}) < \infty ,b > \max( \sigma_c ,0) \)とする.
このとき,\( {}^{\forall} x>0 \)に対して,
\[
 \frac{1}{2\pi i}\int_{b-i\infty}^{b+\infty} x^s \widehat{F}(s) \frac{ds}{s^2} = \int_{1-}^x dF * \frac{dt}{t} = \int_1^x \frac{F(t)}{t} dt \tag{2} \label{smoothed perron}
\] が成り立つ. [証明]

Remark. (\ref{perron})との類似を見ておきます.
(\ref{perron})における\( \widehat{F}(s) = (dF)^{\hat{}} \) の代わりに, (\ref{smoothed perron})では\( \frac{\widehat{F}(s)}{s}=(dF*\frac{dt}{t})^{\hat{}} \)があると考えることができる.
つまり,Perron formulaにおいて分母の因数に\(s\)を加えているように見ることが出来る.
この分母に\(s\)の因数を加えていくことで,積分の可能性を改良することができる.
もちろん,帰納的に\( dF*(\frac{dt}{t})^{*n} \)を\(dF*(\frac{dt}{t})^{*(n-1)} \)の代わりに適用していくことができる.
また,(\ref{perron})においては極限を対称に取る必要があったが,(\ref{smoothed perron})においては非対称に取ることができることが見れる.

ちなみに,"smoothed"というのは一般的な定理の名前としてあるわけではなく文献にある本内で作者(Bateman氏,Diamond氏)がセクションのタイトルとしてつけていたので,ここでは定理の頭につけただけである.
この"smoothed"のイメージ(由来?)は,分母に因数\(s\)を加えていくことからだと思われる.

それでは少し話を戻して,\( G(x) \)を以下のように定める,
\[
 x<1 に対しては,G(x):=0 \\
 x\geq1 に対しては,G(x):=\int_{1-}^x dF*\frac{dt}{t}
\] とすると,この関数\(G(x) \)は\(V\)の元となる.

またこの定義された\(G(x)\)の被積分関数から,これは\(F\)に対してのある種の平均を考えていることが分かる.
つまり,この\(G(x)\)の評価から\(F\)の評価を(ある程度の)推測することが可能であるということである.
(我々の目標は,\(F\)のより良い評価を得ること(詳しくは後述)である!!)

そのようなことが出来ることを次で見てみる.

e.g. \(F\) を実数値関数で,単調増加な\(V\)の元の関数とする.
さらに,\(G(x)\)の評価が
\[
 G(x)=\int_1^x dF*\frac{dt}{t} = x^{\alpha} P(\log x) + O\{E(x)\}
\] で与えられていたとする.
ただし,\(\alpha \)は正の実数とし,\( P\)は恒等的に\(0\)でないような実数係数多項式とし,
\(E\)は増加関数であり,さらに次の2つの条件,
(A) すべての\( x \geq 1\)に対して,\(E(2x) \leq kE(x) \)を満たすような \( k \geq 1\)が存在
(B) \( E(x) = o\{ x^{\alpha} P(\log x)\} \)
を満たすとする.
このとき,\[
 F(x) = x^{\alpha} Q(\log x) + O \{ \sqrt{x^{\alpha} P(\log x) E(x) } \}
\] が成り立ちます.ただし,\(Q(u)=\alpha P(u) + P'(u) \) [証明]

以上が今回の『Perronの公式とその周り』の主な部分である.
次に,その応用とモチベーションを少し話しておいて,次の記事『Dirichletの約数問題と平均値定理』に繋げることにする.

応用,モチベーション

私たちは,数論的関数に対するsummatory functionの良い近似,漸近公式が得たいという目標がある.
たとえばそれは次のような未解決問題があげられる.


Dirichletの約数問題
約数関数\(d(n)\)のsummatory function\(N_2 (x) := \displaystyle\sum_{n \leq x} d(n) \)とする.このとき
\[
 N_2(x)=x \log x + (2 \gamma -1)x + \Delta(x) ( \gamma:Euler's constant) \tag{3} \label{divisor problem}
\] であり,この\(\Delta(x)\)の評価をどれぐらい良く近似できるか?
という問題である.

これを探る方法はいくつかあるが,そのうちの一つにMellin変換,Perronの公式からのアプローチがある.


実は,数論的関数\(f\)とそのsummatory function\(F\)に対するMellin変換は
\[
 \widehat{F}(s):=\int_{1-}^{\infty} x^{-s} dF(x) = \sum_{n=1}^{\infty} \frac{f(n)}{n^s} \tag{4} \label{D.s.}
\] の関係がある.右辺はDirichlet級数と呼ばれるものであり,\( \zeta\)と関わりが強い.
(英語wikiなどを参照すればそれはすぐに感じることができる.)

お気づきの方も多いと思うが,(\ref{D.s.})において\(f(n)\)を\(1\)としsummatory function\(N(x):=\displaystyle\sum_{n \leq x} 1\)と定めると,
\[
 \sigma>1 に対して \zeta(s) := \sum \frac{1}{n^s} = \int x^{-s}dN(x)
\] となる.

またここでは詳しく書かないが,約数問題(\ref{divisor problem})については,
\[
 \zeta^2(s) = \sum_{n=1}^{\infty} \frac{d(n)}{n^s}
\] であることから,
\[
 \sum_{n \leq x}{}^{\prime} d(n) = \frac{1}{2\pi i} \int \zeta^2 x^s \frac{ds}{s}
\] とここにPerron の公式が用いられ,平均値定理との繋がりがやや見られる.
(ややと言うのは,"繋がっていそう"なのは\(\zeta^2\)の存在だけなので,実際はもう少し良く見ることが出来ることは次の記事で紹介する.)

参考文献:P.T.Bateman and H.G.Diamond,Analytic Number Theory:An Introductory Course,World Scientific Pub Co Inc,2004,376 p.

2011年10月30日日曜日

第22回 数学史シンポジウム

津田塾大学で10月29日、30日に開催されました、数学史シンポジウムに参加してきました。
時間の関係上、10月29日の午前中のみの参加でした。
プログラムについては、そのうち津田塾大学さんの方に上がれば、リンクを貼ることにします。

私が、参加した29日の午前中は以下の4つの講演が開かれました。

  • 植村栄治先生『地磁気に関するガウスの研究について』
  • 足立恒雄先生『デデキントの算術と再帰性定理』
  • 白岩謙一先生『カオス発見史の一側面』
  • 杉本敏夫先生『ガウスと虚数平面』
詳しい内容については、後日津田塾大学から発行される本(なのか・・・?)に書かれるので、省略します。

私にとっては、上の第一講演と第三講演は、ほとんど勉強をしたことの無い分野だったので、内容は全く分かりませんでした。
しかし、数学の動き、歴史は論文1つ取っても、やはり色々あることが分かります。
最近、数学10大論争を読んでいたので、新鮮にも感じました。(当事者から聞けると言うのは…!)

そして、私は数論専攻の駆け出しということで、足立先生と杉本先生の話はとても興味深かったです。
今は、学ぶべき基礎が多いので、手を出すことはまた何年後かになるとは思いますが、デデキント先生の『数とは何か、何であるべきか?』を読んでみたいと改めて感じました。
(それに加えて、足立先生の『数とは何か そしてまた何であったか』も読んでみたいですね)

さらに、ヴェルデン先生の代数学の本や、ランダウ先生の『Grundlagen der Analysis』の英訳されたもの。
色々と良さそうな本を聞くことが出来ました。また、借りてちょっとしか読まなかった高木先生の『数学雑談』も。

ガウス先生からアイゼンシュタイン先生への平方剰余、四乗剰余そして、立方剰余。
この流れも学んでみたいですね。私は平方剰余ぐらいで、代数学(代数的整数論?)は止まっているので…。

後ろの方にやることは追加されましたが、今やるべきことを見失わないようにしましょう。
高望みしすぎては、ダメ。理想をちゃんと実現するには、一歩一歩。

頑張ります。

---
津田塾大学、初めて行きました。
江戸川区からは、かなり遠く、片道1,000円近くかかってしまいました…。
津田塾大学は、女子大ということで(受験生の時、それを知らずに受けようとしてた)、ちょっとドキドキして行きましたが、当日は土曜日。
学生もほとんど居ませんでしたので、ちょっと腑抜けてしまいました。
しかし、トイレが女子トイレ基本だと言うところを見ると女子大なんだなあと思いましたね。
キャンパスは、とても綺麗でした。とても静かな住宅街で、東京とは思えないほどでした。

ついでに、近くにある一橋大学にも行こうと、帰りは一橋学園駅まで歩いて見ました。
すると、宿舎しか無い…!と言うか、宿舎に囲まれてしまって、どこにキャンパスがあるのか…と言う感じでした。
帰宅して調べてみると、小平キャンパスは、国際キャンパスだそうで、本キャンパスではないそうですね。
知りませんでした…。

2011年4月7日木曜日

素数が無限個ある証明方法
もちろん、学部4年生であるので、幾つか証明方法があるのは知っている。

今日考えるのは、ユークリッド『原論』にある証明方法についてである。

素数が有限個だと仮定し、それぞれの素数をただし、は定数である。
を考えることによって、背理法により証明が終わる。

このような証明方法である。
しかし、私が思うことは、最後の素数を決めたときに
でも、でも新たな素数を作ることが出来ると思う。

が素数のとき、は明らかなので
も因数分解は出来ない。

なぜ、ユークリッド『原論』では、それまでの素数の積に限定したのか。その方が美しいからであろうか?

オイラー積を考えたら、その方が美しいから(素数について考えているのだから)だと言う結論に至りつつある。

オイラー積、リーマンのゼータ関数、エラトステネスのふるいの関連については、またそのうち書きたいと思います。